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ケニア共和国 健康な地域社会をつくる学童支援プロジェクト 2014年実施報告

平成26年8月6日から10月25日までの2か月半、長崎大学が実施する草の根事業"健康な地域社会を作る学童支援プロジェクト"の調整員補助としてケニア共和国ビタ郡に入りました。
日本で学童の保健・衛生・健康を担当しているのは、養護教諭。世界を見てみると、日本のように一校一養護教諭(スクールナース)制度を持つ国は極めてまれです。では、誰が学童の健康を見るのか。専任スタッフがいない中でも、学童の保健・衛生・健康を見られるように導入されているのが、包括的学校保健システムです。

ニアにもケニア保健省とJICAが共同して作成したKenya Comprehensive school health program(包括的学校保健プログラム)があります。今回の学童支援プロジェクトでは、このプログラムに沿って、ビタ郡にある約100校の学校を対象に、学校保健プログラムの実施と体制の構築、身長・体重測定の導入、トイレ・水タンクの整備、健康教育、学校保健クラブの導入などを行っています。プロジェクト期間は5年間。今年で3年目を迎えました。


包括的学校保健プログラムの実施サイクルは、評価表を用いた学校保健アセスメント、分析、結果のフィードバック、次年度のアクションプラン作成、表彰式の開催、アクションプランの実施となっています。

私の赴任期間には、主に学校保健アセスメントの分析、フィードバック、アクションプラン作成、結果の共有とモチベーション向上のための表彰式の開催を行いました。

アセスメントは今年で2回目。初年度のスコアとの比較を行い、スコア基準から金賞10賞、銀賞13賞、銅賞1校の計24校が選ばれました。これらアセスメント結果を、アセスメントを実施してくれたビタ郡の保健局・教育局のチームと共有するため、ワークショップを開催。ワークショップ中には、参加者から意見も挙げてもらい、実施にあたって現場に即さなかった項目の見直しや更新も行いました。地域や学校毎に状況が異なる現状にも、できるだけ合うような評価表になるように今後も改訂を行っていきます。
今回のアセスメントの参加校は98校。5日間のワークショップを開催し、アセスメント結果のフィードバック、学校毎にスコアが低く改善策がたてられそうなものから次年度に取り組めるようにアクションプランを作成してもらいました。私はこれらワークショップの開催にあたって、データ分析、調整、運営を担当しました。

9月23日には、第一回学校保健表彰式を開催しました。できるだけ多くの人を巻き込み学校保健の重要性を示すため、国、県、郡レベルの関係者、学校関係者や地域住民に声をかけました。各関係者に参加のお願いをするために、早朝からでこぼこ道を現地スタッフと何度も通った時間は今でも忘れられません。町一番の通りには大きな広告が掲げられ、地域住民にも伝えられました。

当日の参加者は735名。各方面から多くの方々が参加してくれて、町一番の催し物になりました。
                                  
今後の目標は、このシステムが現地に根付くこと。現地関係者との協力体制を築きながら、今年も子どもたちの笑顔とともに、学童の保健・衛生・健康を見守る事業を進めていきます。

博士課程前期1年 前川 由佳